気まぐれ店長日記 The store manager's diary written capriciously

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最近の昆虫採集禁止の流れでしょうか?
石垣島でも「石垣市自然環境保全基本方針」というものが出されていて、
一部の偏狭な方の動きで於茂登岳全面採集禁止という動きがあるようです。
本当に保護が必要な種がいて、保護方策も検討されていて種を限定しての保護でしたら大賛成ですが、山ごと採集禁止にしても山だけ残り希少種絶滅の道をたどりそうです。

私は有名産地である於茂登岳は採集者が多いのであまり行きませんが、他県から楽しみに採集に来られる方には残念なことかもしれません。

以下、私が提出したパブコメを記録として載せておきます。

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ご担当者様

私、応用昆虫学者を20年間やっていた経験があり、石垣島に15年以上住んでいますので石垣島の昆虫の専門家として昆虫の保護に関してのみ意見を述べさせて頂きたいと思います。まず初めに保護すべき昆虫種の元になっている琉球列島産昆虫目録増補改訂版ですが、出版されたのが2002年で10年以上前の資料です。その資料を作成する基になる資料はそれ以前に発表されたものになるので実際には15年ぐらい前の情報が元になっています。その中には3275種が石垣島に存在することになっていますが、その後現在までに新種や新記録種として300種程度が追加されています。種の重要度として昔からその存在がわかっている3275種よりも、最近になってやっとその存在が明らかになってきた300種の方が重要である事は専門家でなくても察することが出来ると思います。この重要度の高い新たに見いだされた昆虫種について全く検討されていないのは、今回の稀少な野生動植物種の選定における昆虫種についての選定に全く現実味がない無意味なものといわざるを得ません。もしまじめに昆虫種の保護等を検討するのであれば、今現在の状況をちゃんと調査して本当に保護するべき種は何か、その種を保護するには何が必要かを把握することから始めなければ意味がありません。例えば於茂登岳を丸ごと採集禁止にしても、入山禁止ではないので皆さんが登るために登山道が必要で、その登山道は最近は天災で作っては崩落、作って崩落を繰り返しています。昆虫は集中分布をしていることが多いので、たまたま登山道を通した場所に希少種が集中分布している場所が重なった場合、その種を簡単に絶滅に追い込むことが出来ます。登山道を造るために間伐をする-間伐のために風の通りが良くなり周辺が乾燥する-乾燥化が進み環境変化により希少種が棲めなくなる-希少種の個体数減少ということが簡単に起こります。この時に保護すべき希少種の種類、保護に必要な方策が事前に十分に検討されていれば、登山道を通す場所も考慮され、山全体を保護して種を絶滅させてしまうという悲劇は回避されると思います。

それから、環境省レッドリスト、沖縄県レッドデータブックによる選定基準は古すぎて現状を把握していない物が多々ありますし、それらに指摘されていない種で絶滅の危機に瀕している種もいくつかあります。それからなぜか外来種として特記してあるサカイシロテンハナムグリについてですが、15年以上も前から石垣島に侵入定着しており特に個体数が増加する傾向も認められない低密度の種ですので、現状では全く警戒の必要性はありません。今回の自然環境保全基本方針の策定には石垣島の昆虫の現状をおわかりになる方は参加されていないようですね。

長くなってしまいましたので、現状を把握せずに古い資料のみ基づいて行政が引き起こした最近与那国島で起こった悲劇の例をあげて終わりにしたいと思います。数年前にSさんという方が与那国島のヨナグニマルバネクワガタが絶滅の危機に瀕しているという報告を出しました。10年ぐらい前の地元のクワガタを採集して商売をしている方の採集記録が資料の元になっていました。Sさんはご自分では全く調査を行わずに、科学的根拠の全くない古い資料だけを頼りに報告してしまったのです。与那国島にはヨナグニマルバネクワガタが生息する山が4つありますが、その一つで与那国町が大規模な公園開発を行いました。とても不運な事にその場所がマルバネクワガタが集中分布していた場所と重なってしまい、地元の採集人の採集記録のように絶滅に近い状況に追い込まれました。しかしその他の場所ではとても沢山の個体が豊産していました。しかし、その報告だけが一人歩きしてしまい、ヨナグニマルバネクワガタは種の保存法指定種になってしまいました。地元では全く調査がされなかったために保護する必要がない種が保護種になってしまった悪例です。現地での現状の調査が全くなされなかったために悲劇はさらに続いて、ヨナグニマルバネクワガタが現在最も沢山生息している場所が、与那国島への自衛隊施設の誘致の候補地になっています。現在は沢山生息しているヨナグニマルバネクワガタですが本当の意味での希少種、もしくは絶滅種になってしまいそうです。

このように、今現在の正確な状況把握なしに策定された保護方策は何の意味もありません。調査等を行った上で科学的根拠に基づいた保護方策の策定をお願いいたします。

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台風一過、すばらしい晴天のもと、西表島に渡り3時間程度チャマルの発生状況を見てきました。発生初期で♂ばかりと思いきや、♀もしっかり出ていて数も大発生を予感させるものでした。一先ず生き虫の小型ペアをヤフオク!に中型ペアをネットショップに出しますので必要な方はどうぞ!明日は石垣島で採集して同様に対応する予定です。
 本種は以前はなぜか採集が難しいと思われていました。しかし近年では、平地のライトトラップでさえ良い時期・良い場所・良い条件の日に当たれば、かなりの確率で採集でき、また同様の条件の時に高所にバナトラやライトセットを持ち込めば、ほぼ確実に採集できるようになってきました。
 昨年、偶然にヒゲナガゾウムシ狙いのライトトラップに17頭の本種が集まりました。今年は本種の生息環境のあたりがついていましたので、本種狙いで臨みました。結果は実働20日で42頭、日平均2.1頭というマルバネよりも厳しい数字です。ただ、理由は簡単で、あまりにも発生初期過ぎて出てきた個体を順番に採集していたからだと考えています。採集個体も1頭だけ爪の部分欠け個体がいましたが、その他はとても綺麗なピカピカの完品個体でした。6~7月に高所にバナトラを持ち込めば簡単に大量採集できるとは思いますが、私の嫌う不完品率が高まるので、その時期にはやるつもりはありません。
 本種の採集数は今後どんどん増えていき、値段もどんどん下がって行くことが予想されます。もはや珍品ではなくなってきているので仕方ありません。大型美個体標本につきましてはショップで取り扱いますが、小型~普通サイズの標本につきましては「むしオークション」のアイテムの一つとして取り扱う予定です。クワガタ類は、未処理で標本作製までに長期保存が利く虫なので、大部分は未展足で冷凍庫内に放り込んでいます。急いで標本作製が必要な昆虫が無くなるオフシーズンまでは時間がとれませんので、出品サイクルは不定期になります。とても安く出しますので時々オークションをご覧になってください。少数だけ生かしておいた生き虫につきましてはヤフオク!に出品して行く予定です。

*つい先日、ヤエヤマコクワが安すぎると苦情?を受けました。私のところは西表島まで船で40分足らずで行くことができ、虫自体も狙って採れる様になったので、特別高く売る理由が見つかりません。希少性だけが唯一の魅力だった虫のその希少性が失われた今、安くなるのは仕方ありません。西表在住の虫屋さんはクワガタ屋さんでなくても採っていますし、短期で訪れた虫屋さんは特に狙っていなくてもライトトラップを使われた方の2割ぐらいの方はヤエヤマコクワを採集されているような状況ですから。
ヤエヤマキボシハナノミ
 本種は大型美麗種で八重山のハナノミ類の中では最も注目される種かもしれません。ホストは海岸林に多いオオハマボウが知られていますが、原生林内でも良く見られることからその他のホストがあるようです。本種は石垣島では個体数が多く、また走光性も持つためライトトラップで容易に採集でき西表島では特に採集していませんでした。最終日に西表島の海岸線を流していたら、一つの花に本種が沢山群がっているのを見つけました。一掬いで10頭、西表島にも本種は沢山いるようです。
ルリゴキブリ
 ルリゴキブリの仲間は日本では鹿児島県宇治群島から沖縄県与那国島(沖縄本島は除く)まで広く分布しています。ルリゴキブリとして記載されているのは石垣島産および西表島産のみで、他の地域のものは未記載で名前がありません。♂の個体は瑠璃色の綺麗な上翅に奄美・徳之島産は3つのオレンジの紋を持ち、石垣島産および西表島産は無紋、与那国島産はオレンジの横帯を持っているのが普通です。オレンジの紋を持つ個体はサビモンルリゴキブリとして和名が一人歩きしているようです(笑)。
 今回の西表島採集で1♂のみですが、与那国島産と同様のオレンジの横帯を持つ個体を採集しました。もう10年以上西表島に通っていますが初めての採集です。ただ、特にルリゴキブリを狙って採集したことはなく、おそらく20頭程度しか採集していませんので、もしかしたらこのような個体はたくさんいるのかもしれませんが、今回の採集行で驚かされた個体の一つです。ただ、小さな西表島に2種のルリゴキブリが同所的に分布するのはなかなか考えにくいので、少なくとも与那国島産と石垣・西表島産は交尾器等に明確な差が見られないなら、別種にするのは無理があるのかもしれません。与那国島で無紋のルリゴキブリを探す楽しみが増えました。



ハラビロトゲサシガメ
本種は西表島と沖縄本島に分布が知られています。サシガメの中でもかなりの稀種で数個体しか採集例がありません。私はサシガメがとても好きなので、いつかは採集したいなと思いつつその存在を知ってから10年近く経ってしまいました。その形態は誰が見ても樹皮の擬態者とわかるものです。ただ、その完璧な擬態能力は、そこにいるという確信・信念を持って探さないと見つからないだろうと思わせるものです。その本種をベニボシカミキリ採集の折に、幸運にも採集する機会に恵まれました。地衣類にまかれた樹皮が一瞬動いたように見えたとき、瞬時にチャンスが訪れたことを理解しました。刺されるかもと一瞬思いましたが、次の瞬間には手で鷲掴みにしていました。20mmを超える大きなサシガメですが、とても扁平で樹幹・樹皮上での生活に適応した究極のフォルムなのかもしれません。本種の採集が、今日一番うれしかった出来事です。
ヤエヤマウスバカミキリ
ショップに参考登録しましたが、西表島に渡ったその晩に採集した69mmという巨大な個体です。
西表島には日本最大のカミキリと思われる種が2種、分布しています。一つは本種で、もう一つはコゲチャトゲフチオオウスバカミキリです。平均的な大型個体の大きさは後者が圧倒的に大きく、最大のカミキリということになります。
しかし、個体としての最大はどちらかということになりますが、現状ではコゲチャトゲフチ(71mm程度)、将来的にはウスバカミキリの巨大な個体(72mmぐらい?)が採集されるのではと考えています。根拠はコゲチャトゲフチの方は70mmを超える個体では、それぞれが個性的な体型になりサイズ的に限界に近づいた印象を受けます。ウスバの方は69mmになっても大型個体を拡大しただけのスマートな体型を維持しています。サイズ的な限界はまだまだ先にあるといった印象です。そういう意味では、ヤエヤマウスバカミキリはとても夢のある虫です。
ヤエヤマコクワガタ
日付が変わっていますので昨晩の出来事。
本日石垣島に一時的に帰る予定でしたので、
月齢はあまりよくありませんが、
コクワ狙いで山の上の方にライトセットを運びました。
今回は自分の汗でずぶ濡れで不快度MAXでした。
21時半頃に1♀が光源にダイレクトに飛来しました。
22時頃に一時的に光源の強さを落とすと林床を1♂が歩いてきました。
近くに飛来していて気づかなかった個体のようです。
1ペア採集できたのでさっさと下山しました。

2頭ともとても新鮮な個体でまた、意外に大きいので、
標本用としてのクオリティーを備えています。
一先ず、価格高めに生き虫として展示して(笑)、標本用に処理する予定です。

去年と今年採集した感じですが、ヤエヤマコクワガタは比較的標高が高いエリアに生息しています。しかし、所詮クワガタで、正の走光性を持ち、フルーツトラップにも集まります。
生息エリアまでライトセットなりバナトラなりを持ち込む面倒さえクリアしたら、適切なトラップの設置場所を選定する能力を持った人なら誰でも採れるただのクワガタ、そんな感じがしてなりません。

今年も順調に採集できそうなので、去年よりも価格を下げる予定です。


イシガキトゲウスバカミキリ
昨晩の出来事。
出発前にレーダーアメダスで雨雲の様子をチェックし、
もっとも雨の降りそうもない場所をライトトラップポイントとしてチョイスしました。
点灯後2時間で豪雨になり、私も機材もずぶ濡れに。
早く帰りたいそんなときに限って、イシガキトゲウスバが小雨の中ポツリポツリと飛来し始めました。結局、3♂♂1♀が飛来してくれましたが、今回もずぶ濡れです。
今日の出来事ですが、原生林内でベニボシカミキリの飛来を待っていると突然のスコールに見舞われました。さすがに降雨が激しい時は飛来はありませんでしたが、少し弱まると次々に飛来し始めました。亜熱帯気候の暖かいスコールは一時的に昆虫の飛翔行動を抑制はしますが、このようにほとんど昆虫の行動自体を止めることはありません。そのため雨の日にも採集はお休みにはなりません。さあ、いつもびしょびしょで不快指数100%の採集が始まります(笑)。
この時期の与那国島には行ったことがなかったため、探索的な採集のつもりで色々と狙ってきました。結果としては、採集できるだろうなと予想された種をたんまり採集してきただけで、ヨナグニチビビロウドコガネが1頭採れたぐらいしか喜ぶべき出来事は起こりませんでした。もう少し発生種数が増えた頃に採集に出かけてみたいと思っています。
昨晩、ビロウドコガネ類の標本を整理中にチビビロウドコガネの中の数頭にNewかも?というメモを見つけました。
自分の書いたメモなので仕方なく実体顕微鏡でじっくり検鏡してみるとやはりチビビロウドとは違う!
勿体ないけど腹部をばらして♂交尾器を比較しても違う!
そういえば、以前西表島で新種のコガネムシ見つかるというニュースを見て取り寄せたままで見ていなかった文献があったので探し出してみると、チビビロウドコガネと同属のユーマラデラ属のコガネムシ!
原記載をじっくり読んでみると特徴が完全に一致していてすっきり解決しました。
本種の一番わかりやすい特徴は、前胸背板の前縁および側縁に光沢があり、その他の部分(中央部および後縁)はつや消し状になっています。
種小名に「どくとるマンボウ昆虫記」を書かれた作家の北杜夫氏の名を、和名に氏の自称マンボウを冠したこの虫は、小さくてとても可愛らしいコガネムシですよ。
謹賀新年

毎々格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
本年も、皆様のご期待に添うべく、なお一層の標本クオリティー向上を目指し、さらに良い標本をお目に掛けたいと思っております。
どうぞ、ご利用くださいますよう、お願い申し上げます。

平成25年元旦
やっとカメムシ図鑑第3巻が発刊されました。
南西諸島にはカメムシの美麗種やよくわからない迷カメムシも多く、待望の図鑑です。
個人的にはサシガメ類が大好きで、クワガタ採集のフルーツトラップに時折現れていたモンキヒラタサシガメがサキシマヒラタを捕食していたという私の観察データも記述されています。
協力者ということで1冊、貰ってしまいましたが、もう1冊買っておこうと思います。
ビッダーズオークションが終了して、次にどこに出品して行こうかと考えていました。
ヤフーオークションにも少し出品してみましたが、カテゴリー分けがなされていないので出品者側も落札者側も現状では使いづらい状態です。
KSLオークションも検討してみましたが、標本に関してはカテゴリー分けが不十分で、私のところのようにいろいろな昆虫標本を扱うところには使いづらい状態です。殆どの標本をその他の昆虫に放り込むことになります。完全無料というのは聞こえは良いですが、問題が起こったときの責任の所在、オークション自体の継続性等に不安があります。一時的ではなく継続的に出品する側には、手数料を払っても継続的な安心できるオークションサイトの運営が望まれます。
そこで現状ではむしオークションが標本を出品するのには最適であると判断し、出品を開始しました。今後少しずつ出品数を増やして行きたいと思います。
9月にビッダーズオークションが終了するためビッダーズ店をオープンすることにしました。
新たなビッダーズ店とご覧になっているネットショップの差別化を行う予定です。
このネットショップでは在庫の中から選りすぐった特選個体をメインに取り扱います。
ビッダーズ店では普通種やお買い得なセット物、B品を取り扱います。
ビッダーズ店はビッダーズオークション終了までにのんびりと商品登録を行う予定です。
在庫の穴を埋めるために与那国島に行ってきました。
ハナムグリ・コガネ・カミキリ・タマムシを狙って出かけました。
が、一番の収穫はサキシマヒラタで、現在79mmほどありますが、
乾燥・脱脂して標本になる頃には78mm台に落ち着くでしょう。
もちろん先に挙げた狙いの種もちゃんと採集いたしましたので、
標本になりましたら登録したいと思います。
少しずつ商品登録作業を進めています。
途中で採集に出る予定もありますので、登録完了までにはもうしばらくかかりそうです。でもどうにか6月中には完了させたいと思います。
ベニボシカミキリを採集中です。
特に狙ってはいませんでしたが、ヤエヤマコクワも複数採集できています。
西表島は良いところです!