2013年5月

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ハラビロトゲサシガメ
本種は西表島と沖縄本島に分布が知られています。サシガメの中でもかなりの稀種で数個体しか採集例がありません。私はサシガメがとても好きなので、いつかは採集したいなと思いつつその存在を知ってから10年近く経ってしまいました。その形態は誰が見ても樹皮の擬態者とわかるものです。ただ、その完璧な擬態能力は、そこにいるという確信・信念を持って探さないと見つからないだろうと思わせるものです。その本種をベニボシカミキリ採集の折に、幸運にも採集する機会に恵まれました。地衣類にまかれた樹皮が一瞬動いたように見えたとき、瞬時にチャンスが訪れたことを理解しました。刺されるかもと一瞬思いましたが、次の瞬間には手で鷲掴みにしていました。20mmを超える大きなサシガメですが、とても扁平で樹幹・樹皮上での生活に適応した究極のフォルムなのかもしれません。本種の採集が、今日一番うれしかった出来事です。
ヤエヤマウスバカミキリ
ショップに参考登録しましたが、西表島に渡ったその晩に採集した69mmという巨大な個体です。
西表島には日本最大のカミキリと思われる種が2種、分布しています。一つは本種で、もう一つはコゲチャトゲフチオオウスバカミキリです。平均的な大型個体の大きさは後者が圧倒的に大きく、最大のカミキリということになります。
しかし、個体としての最大はどちらかということになりますが、現状ではコゲチャトゲフチ(71mm程度)、将来的にはウスバカミキリの巨大な個体(72mmぐらい?)が採集されるのではと考えています。根拠はコゲチャトゲフチの方は70mmを超える個体では、それぞれが個性的な体型になりサイズ的に限界に近づいた印象を受けます。ウスバの方は69mmになっても大型個体を拡大しただけのスマートな体型を維持しています。サイズ的な限界はまだまだ先にあるといった印象です。そういう意味では、ヤエヤマウスバカミキリはとても夢のある虫です。
ヤエヤマコクワガタ
日付が変わっていますので昨晩の出来事。
本日石垣島に一時的に帰る予定でしたので、
月齢はあまりよくありませんが、
コクワ狙いで山の上の方にライトセットを運びました。
今回は自分の汗でずぶ濡れで不快度MAXでした。
21時半頃に1♀が光源にダイレクトに飛来しました。
22時頃に一時的に光源の強さを落とすと林床を1♂が歩いてきました。
近くに飛来していて気づかなかった個体のようです。
1ペア採集できたのでさっさと下山しました。

2頭ともとても新鮮な個体でまた、意外に大きいので、
標本用としてのクオリティーを備えています。
一先ず、価格高めに生き虫として展示して(笑)、標本用に処理する予定です。

去年と今年採集した感じですが、ヤエヤマコクワガタは比較的標高が高いエリアに生息しています。しかし、所詮クワガタで、正の走光性を持ち、フルーツトラップにも集まります。
生息エリアまでライトセットなりバナトラなりを持ち込む面倒さえクリアしたら、適切なトラップの設置場所を選定する能力を持った人なら誰でも採れるただのクワガタ、そんな感じがしてなりません。

今年も順調に採集できそうなので、去年よりも価格を下げる予定です。


イシガキトゲウスバカミキリ
昨晩の出来事。
出発前にレーダーアメダスで雨雲の様子をチェックし、
もっとも雨の降りそうもない場所をライトトラップポイントとしてチョイスしました。
点灯後2時間で豪雨になり、私も機材もずぶ濡れに。
早く帰りたいそんなときに限って、イシガキトゲウスバが小雨の中ポツリポツリと飛来し始めました。結局、3♂♂1♀が飛来してくれましたが、今回もずぶ濡れです。
今日の出来事ですが、原生林内でベニボシカミキリの飛来を待っていると突然のスコールに見舞われました。さすがに降雨が激しい時は飛来はありませんでしたが、少し弱まると次々に飛来し始めました。亜熱帯気候の暖かいスコールは一時的に昆虫の飛翔行動を抑制はしますが、このようにほとんど昆虫の行動自体を止めることはありません。そのため雨の日にも採集はお休みにはなりません。さあ、いつもびしょびしょで不快指数100%の採集が始まります(笑)。