気まぐれ店長日記 The store manager's diary written capriciously

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ヤエヤマノコギリクワガタはご存じのように石垣市自然環境保全条例で保全種に指定され2015年5月から採集が禁止されました。条例が施行された頃は普通種である本種を指定するのは意味が無いのではと楽観視していました。ところが条例が施行された2015年も今年2016年も急速にその個体数が減少しているような状況です。採集が出来ないので正確なモニタリングは出来ていませんが、発生期に海岸線の灯火に集まっている本種の数が著しく減っている様に感じています。
 これからは私の仮説ですが、近年の海岸線周辺の集中的な開発が本種の生息を脅かすレベルに達してしまったのではと考えています。本種の生息域が安定している条件下では、ある狭いエリアが伐採等で開発された場合、そこで一時的に個体数が増す現象が数年前まではしばしば観察されていました。伐採された木や地中の根部が本種が繁殖するための資源となっていたためです。しかし、ここ数年は開発のエリアが海岸線周辺に集中し、本種の生息に致命的なダメージを与えているようで、開発が行われても本種が増える現象が見られなくなってきています。海岸線の低地にまとまっていた生息域が、開発でズタズタに寸断されてしまい個体数が急速に減少してきている状況と想像しています。
 石垣島は小さい島なので、すでに主だった山には舗装された不必要に綺麗な林道が作られていて、山間部には開発の余地はあまりありません。そうなると海岸線が開発のターゲットになります。海岸線の道路沿い周辺は本種の主な生息エリアになっていますが、観光客目当ての店や、移住者の住む家がどんどん出来ていて、さらに最近は私には全くその意味が分からないのですがカーブを減らすための道路直線化の工事が各地で行われています。石垣島には規模の小さな土建屋さんが沢山あって、どこかしら開発をしなければその雇用を維持できない等の理由があるのでしょうが、本種の生息を脅かす潜在的な数千・数万頭レベルの個体数を減少させる行為を、全く規制すること無く野放しにして、昆虫愛好家の方が僅か数匹を採集する行為を条例で規制するというのは全く理解できないし、現状は条例を作っただけで全く保護になっていません。
 石垣市自然環境保全条例は石垣市の環境課によって作られたのですが、ここの職員の方は少し頭が弱いようで、未だに熱心にいもしない密猟者対策の会議をして時間を浪費しています。本種に関しては、個体数の減少の原因は99.9%が海岸線の開発にあります。税金泥棒としか思えないような無駄な時間を過ごさないで、本種の保護に一番大切な海岸線の開発規制の議論を行って欲しいものです。石垣島のヤエヤマノコギリクワガタは、保全種に指定はされましたが、本来行われるべき定期的なモニタリングさえもなされていません。このままでは気づかない間に近い将来には絶滅してしまうかもしれません。
 石垣市もそうなのですが、全国的に昆虫愛好家に対して採集規制の条例を作ることが自然保護活動であるという風潮があるように感じています。でもほとんどが条例を作ったら作りっぱなしで、何の対策も行われていないのが実情です。条例さえ作ってしまえば、勝手に自然保護が行われると思っているのでしょうかね?もう少しまじめにやって欲しいものです。
オオアカホシカメムシ
昨晩、オオアカホシカメムシ(Dysdercus fuscomaculatus Stal, 1983)採集に行ってきました。
本種は石垣島では7月~8月に毎年沢山見ることが出来ます。
20mmを超える美しい大型種で、また強い正の走光性を持つのでライトトラップで簡単に採集することが出来ます。
ただ、過去に石垣島でまじめにカメムシ類を研究した人が一人もいませんので、このカメムシの生態は全く分かっていません。
簡単に採集できるのに、どこでどんな生活をしているのか謎に包まれたもどかしい種です。
80頭ほど飛来しましたが、綺麗な物を少しだけキープしてきました。
ヨツモンオオアオコメツキ採集
今日はヨツモンオオアオコメツキ(Campsosternus matsumurae Miwa, 1929)採集に出かけてきました。
与那国島のノブオオオアオコメツキと比較すると個体数は少ないですが(ノブオが多すぎ!)、
大型でピカピカ光る大型甲虫ですので、1時間も探せば20頭程度は簡単に採集できます。
盛夏の石垣島を代表する綺麗な昆虫の一つです。
与那国島に昆虫採集に行ってきました!
昨日、発作的に日帰りで与那国島に昆虫採集に行ってきました。
レンタカー屋の親父さんも与那国は枯れてて虫はいないよと言っていましたが強行です。
目的は毎年採集に行っているヨナグニネブトです。
灼熱地獄の中、林内のシロアリの巣の下部の粘土をホジホジするのは過酷でしたが、そこそこ採集できました。
余った時間でノブオオオアオコメツキ(Campsosternus nobuoi Ôhira, 1966)のような林縁を飛び回る綺麗な虫たちもいくつか採集してきました。

今日はイシガキシリアゲ Neopanorpa subreticulata Miyamoto et Makihara, 1979を観察してきました。於茂登岳周辺の山塊では普通ですが、それ以外の場所ではなかなか観察に適した場所が見つかりません。今回複数個体が飛び回る場所を見つけることが出来ましたので、記念に1頭だけ持ち帰りました。於茂登岳周辺の個体群よりも、このエリアの個体群は翅にある斑紋の黒化が進んでいるようで黒っぽく見えました。
2年前からとても気になっていたマルカメムシの幼虫がいました。
石垣島で私が見たことがない虫はほとんどが新種であるという状況の中、少し期待を持って観察していました。昨日いそいそと観察に出かけたところ、終令幼虫が沢山いる中に待ちに待った成虫が3頭付いていましたが、残念なことに見たことがあるマルカメムシだったので少し落胆しました。今まで気になっていた幼虫の正体はサメハダマルカメムシ Phyllomegacopta sp. というマルカメムシの仲間の未記載種でした。でもまあ知らなかった幼虫と成虫がまた一つリンクしましたのでよしとしましょう。記念に成虫と幼虫の画像を貼っておきます。この幼虫の樹幹での擬態レベルは非常に高く、いるのを確信して探しても見逃す個体が出るぐらいです。



画像左/中:テントウムシ擬態のコガネムシ
画像右:石垣島産ナナホシテントウ

テントウムシ擬態のコガネムシを入手しました。
とても愛らしい虫です。以下少しうんちくを垂れます。

擬態とは:擬態とは生物が何か別のものにそっくりに化けて自身を捕食者や天敵から守ることです。有毒な生物などの他の種類に似る標識的擬態と、葉や枝などの他の物に似せて隠れる隠蔽的擬態が代表的なものです。他に捕食者側がとる攻撃擬態というものもあります。

標識的擬態とは:この中には代表的なものとしてミューラー型擬態(毒を持つ生物が、おたがいに似通った体色をもつことをいいます。ミュラー型擬態はお互いが毒を持っており、どちらかが一度犠牲になれば、その後は他の種類も守られることになります。)やベイツ型擬態(毒や武器を持っている生物の持つ警戒色と同じ警戒色を用いて、捕食者をだまして身を守るものです。実際に毒や武器を持っている模倣される方をモデル種と呼び、毒を持っていない擬態している方をベイツ型擬態種(擬態種:ミミック)と呼びます。)があります。

テントウムシ擬態とは:モデル種がテントウムシであるベイツ型擬態のことです。テントウムシ類はアルカロイド系の苦い黄色い液体を分泌するため食べるととても不味い昆虫のようで多くの生物のモデルになっています。代表的なものとして、テントウムシダマシ、オオキノコムシ、ゴミムシ、ハムシ、ゴミムシダマシのような甲虫類と、テントウムシとは系統的に遠い関係のウンカ、ゴキブリ、クモ等が擬態種として知られています。

テントウムシ擬態のコガネムシ:今回入手したものは、黒色の前胸背板の側方に白色の斑紋を持ち、オレンジ色の上翅に黒色の斑紋を持つという警戒色の色彩パターンから、アジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布し日本でもおなじみのナナホシテントウがモデル種のようです。ヨーロッパからアジアにかけて分布するナナホシテントウは,黒紋が小さいことからコモンナナホシテントウと呼ばれ真上から見るとお尻にある2つの黒紋が見えないので5星テントウです。このコガネムシも5星になっています。ちなみに日本に分布しているナナホシテントウも石垣島産のものは紋が小さく5星に見えます。

この虫の効用(個人的なもの):この虫を見ていると自然はすばらしいといいますか、何かほっこりした気分になり、癒し効果が絶大です。
今年から石垣島のチャマルは採集禁止になりました。
そんな状況ですが、毎年続けている発生調査をどうしようかと悩みました。
発生期にルッキングでカウントすることも考えましたら、知らない人が見たら採集しているのではと勘違いされるでしょうし、チャマル大好きな私には目に前にいるのに採集できないのはとてもつらい作業です。そこで考えたのが、発生後期に路上に現れる歩行個体の出現頻度を調べて全体の発生状況を推定するという方法(カウントするだけで採集はしません。)です。幸い過去のデータは歩行個体、樹上個体および飛翔個体を雌雄別に区別して記録していたのでどうにかなりそうでした。直接推定する値は私がシーズン中に採集するであろう個体数ですが、私は特殊能力を持っているわけではありませんので、沢山発生した年には沢山採集するだろうし、そうでない年には少ないだろうという仮定のもとに採集推定値を求める作業です。その結果、2011年・2013年と続いた大発生とは異なり中程度の発生であることがわかりました。
 この調査を午前中に行い、午後には西表に渡るという忙しい日々を過ごすいていましたが、現在は路上に出現する個体もほとんど見られなくなり、西表でも転がっている死体を見ることが多くなりました。今年の西表は発生量の差はありますがどこでも見ることができるような大発生だったような感じです。
 このようなわけで今年は西表のヤエマル採集に出かけることが出来ませんでした。来年は長期で採集に出かける予定です。

 
~チャイロマルバネクワガタおよびヤエヤママルバネクワガタの場合~

 2015年10月8日現在、チャイロマルバネクワガタはかなりの個体が発生し活発に活動していて、ヤエヤママルバネクワガタは発生の早い個体群がまばらですが発生を始めていてます。ご存じのように2015年5月施行の石垣市自然環境保全条例にて、この2種は保全種に指定されていて採集が禁じられています。ただ、おかしな事に発生地にはこれらの2種の採集が禁じられていることを示す看板もなければ監視員も全くいませんでした。普通に観察することができています。悪意のある採集者や条例で採集が禁じられていることを知らない人には採集し放題の状況です。現状では2種ともに採集を禁じなければならないレベルの種ではないので特に問題はありませんが、禁じる条例を施行してしまった石垣市としてはとてもお粗末な状況ではないかなと思います。責任を持って条例の実効性の確保のために対策を取るべきでだと思いますが、やる気のない石垣市の環境課の職員には無理でしょうね。保全種を守るためには保全種の発生生態を詳しく知る必要がありますが、条例ができる過程で公表された資料を見る限り、そのような調査をなされた形跡は全くありませんでしたし、石垣市としての意見を全く持たずに、怪しい石垣市環境保全審議会なるものの言いなりでしたからね。
 ところで、チャマルは朝の7時頃から活動を開始し夕方の18時頃に活動をやめると、引き続きヤエマルが活動を開始し朝方4時頃に活動を停止します。つまり2種を完全にカバーするには朝7時から翌朝4時までの21時間体制の監視が発生期間中(約1ヶ月半)必要になり、そのエリアは石垣島の西部半島から北部半島までとほぼ全域にわたり、お役所仕事のサラリーマンには無理なお仕事です。意味のない無駄な条例を作ったのだから、少なくとも数日ぐらいは監視をしている振りでもいいからやって欲しいものです。

ツマグロゼミ オレンジタイプ
昨日、久しぶりにツマグロゼミのオレンジタイプを採集しました。石垣島での出現頻度はかなり低くて1シーズンに1~2頭ぐらいしか出会うことがありません。与那国島ではオレンジタイプの出現頻度は高いのですが、石垣島の個体とは色調が異なり柔らかい感じのパステル調のオレンジ色をしていて、緑色の個体も柔らかい感じの色調です。
最近、オキナワホソコバネカミキリの在庫の問い合わせが多いです。
結論から言って在庫なしで、在庫として持つ予定は今のところありません。
昨年記載されて今年たくさんのカミキリ屋さんが採集に出かけられたようですが、拍子抜けして帰ってこられた方が多かったようです。
誰でも採れる普通種だったということですが、記載論文から予想されたことでした。
稀種の場合、記載のための個体数が少なかったり、片方の性しかそろわずに記載されることもありますが、本種は記載に用いられたサンプル数がどう見ても普通種並でした。このようなことは調査の不十分な南西諸島では良くあることで、今回はたまたまその時期に採集する人がいなくて知られていなかっただけの普通種たったということです。
普通の人で1日に3~4頭程度、上手い人は2桁、これがシーズン中ずっと続くわけで、初年度で採集された個体数は軽く数百頭に達し、地元の人の中には一人で3桁超えた人もいるようです。このような普通種ですので私自身は採集に出かける予定はありませんが、1ペア\3000程度の虫なので仕入れるかもしれません。
(石垣市自然環境保全条例)
昆虫の保全種指定、保護地区の指定および保護地区内の規制案が素案の通りに5月1日より施行されることが決まりました。形だけのパブリックコメントの募集は行われましたが、素案をそのまま通すことが決まっていたような感じです。まじめにパブリックコメントを書きましたが無駄になり残念です。
以下の昆虫12種が石垣市希少野生動植物の保全種(採集禁止種)です。
1.サキシマヤマトンボ
2.イシガキニイニイ
3.イシガキヒグラシ
4.チャイロマルバネクワガタ
5.ヤエヤママルバネクワガタ
6.ヤエヤマノコギリクワガタ
7.イリオモテボタル
8.オモトウスアヤカミキリ
9.イシガキトゲウスバカミキリ
10.ベニボシカミキリ
11.アサヒナキマダラセセリ
12.コノハチョウ

*保護地区として於茂登岳周辺の山塊が指定されており、一切の動植物の採集が禁止されました。

今回の条例制定に関し、石垣市は石垣市環境保全審議会という得体の知れない集まりの上げた素案を、十分に検討することなくそのまま条例として施行するという前代未聞の行政失策を犯しました。石垣市がパブリックコメント制度を導入して以来、未経験の膨大な数の意見に全く耳を貸すことなく、怪しい審議会の全く科学的根拠や論理的な必然性に基づくことなく恣意的に決められた素案を安易に条例にしてしまったということです。さらに通常は市民に周知してもらうための公布期間を経て施行されるのですが、そのようなこともなく2週間後にはいきなり施行ということです。
先日新聞を見ると石垣市全島LED化完了という見出しが躍っていました。石垣市はLED化のデメリットを全く考慮することなく全島をLED化してしまいました。通常は事業を推進するときはメリットおよびデメリットを考慮して行われるべきですがそのようなことは全くお構いなしです。業者との癒着でもあるのでしょうか?防犯上必要な市街地のLED化はメリットが多くとても喜ばしいことですが、そのような必要性が低い田舎の畑地や林縁の外灯までとても明るいLEDにしてしまったために問題が起こっています。夜行性の動物はその生活の場所を奪われ、動植物の光周性は大きく乱され、野生動植物が大きな被害を被っています。特に気になるのがホタル類への影響です。畑地周辺や林地には希少種のイリオモテボタルがたくさん生息しています。イリオモテボタルは弱い光を頼りに雌雄が出会い繁殖行動をして子孫を次世代に繋いで行きます。今までの電球型の外灯は光量が少なかったために影響は少なかったのですが、LED化により圧倒的に光量が増し周辺が異常に明るくなり繁殖行動が大きく阻害されてしまいました。これからイリオモテボタルは石垣市のLED化事業が原因で絶滅してしまうかもしれません。とても皮肉なことに畑地周辺や林地周辺外灯のLED化で個体数を大幅に増やすことが約束された生き物がいます。外来種で駆除対象になっているオオヒキガエルです。LEDの光は今までのぼんやりした外灯の何倍~何十倍もの正の走光性を持った昆虫を外灯下に集まったオオヒキガエルに食物として与えてくれます。十分な食物を継続的に摂取したオオヒキガエルは今までよりも行動範囲や繁殖力が大幅に増して石垣島の生態系に負の影響を与え続けることになります。4月に自然保護関係の条例が施行されるようですが、自然保護を叫びながら一方では自然のことは全く考慮しない自然保護とは逆行した事業を行うような事はやめて欲しいものです。
先日、この規制案についてパブリックコメントを提出しました。
この資料を見る限り石垣島の昆虫類の置かれている現状は全く調査されていません。
資料には有識者の意見も聞いていると書いてありますが、資料は間違いだらけで有識者や外部の専門家に全く意見を聞いた気配はありません。取り上げられている昆虫種の相対的な重要度を考えると、通常はトンボ類は取り上げられることすらない昆虫種ですが、資料の中には不自然にたくさんのトンボ類が出てきます。おそらく昆虫の知識が全くない素人もしくはトンボのことしかわからない偏った知識の人が自分の独断と偏見で外部の人にヒヤリングすることなくこの資料をまとめと思われます。間違いだらけの基礎資料を基に、学問としての昆虫学を学んだことすらない資質のない人によって取り纏められた今回の規制案は当然破棄されるべきものだと考えています。
昆虫の保全種指定、保護地区の指定および保護地区内の規制について

 私は昆虫学者を20年間、その後も昆虫に関係する仕事に従事しており、石垣島在住16年になりますので、石垣島の昆虫に関する専門家として昆虫に関する事柄のみに限定して意見を述べさせていただきます。今回の石垣市が行っている昆虫の保全種指定、保護地区の指定および保護地区内の規制の決定の仕方は、例えると小学生が学級会で決めた事柄をいきなり国の法律にしてしまうかのような乱暴さを感じています。なぜそのように思えてしまうのかを順に述べて行きたいと思います。今回の保全種の選定基準になっている環境省第4次レッドリストは特に石垣島のような離島の種についてはリストの改訂のために新たに調査を行うようなことは殆ど無く、過去にリストアップされた種をそのまま引き継ぐ作業が行われるだけです。つまりリスト改訂年はH24年で比較的新しいのですが、中身は10年以上前のままです。つまりずっと昔に簡単に調査され現状を全く反映していないものを基準に今回の石垣島の保全種の選定がなされています。なぜ、石垣島の大切な保全種を選定する課程で石垣市が全く調査を行わないで、島外の人が大昔に作った資料を基準に今の石垣島の保全種を決めてしまったのか甚だ疑問です。資料には昆虫類のリスト(3275種)があげてあり、その資料は最新の知見や追加すべき情報を加えたと書いてあります。前回のパブコメでも指摘しましたが昆虫種が200種ほど抜けています。またリストにあげられた種の和名や学名は間違いが多く含まれておりまじめに作られたのか疑問です。また、保全種の選定結果の元になっている評価項目にあげられた種も、現状とは相容れない間違った選定がなされておりなぜそのような判断がされたのか理由が思いつかないぐらいひどいものです。保全種選定の考え方の参考とする評価項目に「既存資料や有識者へのヒアリング等を参考に」と書いてありますが、これだけ間違いがひどい現状を鑑みると、古い資料のみを参考にして、有識者へのヒアリングを全く行ってないと判断せざるを得ません。ほとんど昆虫のことがわからない人が独断と偏見で選定しているように感じます。これはとても恐ろしいことです。動物の中でも昆虫類は種数が多く、石垣島の昆虫の保全種を選定するためには少なくとも30人程度の昆虫学者、昆虫研究者およびアマチュアだけど第一線で調査されている愛好家等に意見を聞く必要があります。保全種の選定課程での種の選定手法等に意見を述べると20ページぐらいになりそうですので、選定された12種について意見を述べさせていただきます。各昆虫種について写真付きで保全種の生態情報等が資料として示されていますのでその順に書いて行きます。
*サキシマヤマトンボについて
本種は生息環境の好みがうるさい種ですが、生息する環境では個体数は決して少なくありません。また、資料には山地の開発やダム工事で分布域が狭まりつつあると書いてありますが、現状ではそれらはすでに終わっており、これからもそれらが行われる予定もないようです。生息環境が脅かされるような状況ではありませんので、現状では保全種に選定される理由は見いだせません。
*イシガキニイニイについて
 本種は生息域がせいぜい富野から山原まででとても狭く密度も低いため本当に守られるべき種であると考えています。
ただ、すでに強制力のある種の保存法でがっちり守られていますので、今更強制力の低い石垣市の保全種に選定する意味はありません。
*イシガキヒグラシについて
 資料には「石垣島では開発が進み、特に天然林更新事業により低木層や草本層の伐採などの影響で個体数が減少しつつある。」ともっともらしいことが書いてありますが全くの間違いで、それらが行われるような場所にはそもそも本種は生息していません。本種は完全に山地性の種で、分布域は開発等の影響は皆無で現状では個体数は安定しており減少の傾向は全く見られませんので、現状では保全種に選定される理由は見いだせません。
*チャイロマルバネクワガタについて
 本種は一年おきに大発生を繰り返すタイプの興味深いクワガタです。分布域も広くまたこの発生パターンはここ10年ぐらい安定しており、特に個体数の減少は見られませんので現状では保全種に選定される理由は見いだせません。
*ヤエヤママルバネクワガタ
 資料には「乱獲用のトラップが毎年各地で多数観察される」ともっともらしいことが書いてありますが全くの間違いです。本種は成虫になると野外では餌を食べません。幼虫期に蓄えた栄養のみで死ぬまで行動します。つまり本種はトラップでは採集できません。なぜ虫のことがわかる人なら誰でもわかるような間違いを資料に載せてしまったのか、こんな恥ずかしい間違いが訂正されることなくネット上で誰もが見ることができる情報として垂れ流されている理由はなぜなのか、このことを書いた人はもう少しまじめに真剣にやっていただきたいと思います。本種は石垣島では西の屋良部岳から北部半島の山まで広域に分布していて、現状では個体数も少なくない普通種です。現状では保全種に選定される理由は見いだせません。
*ヤエヤマノコギリクワガタについて
 資料には「特に開発が進んでいる石垣島で個体数が減少している。石垣島・西表島・与那国島の固有種。」と書いてありますが間違いです。石垣島には本種と成虫の餌や幼虫の利用する資源で競合関係にあるサキシマヒラタクワガタが分布しています。この両種は前者が海岸林や山裾の低地を、後者が山地を主な生息場所として空間的にうまく棲み分けています。ここ10年ぐらい石垣島は海岸線付近が継続的に開発されてきています。そのため本種の幼虫が生育するために必要な朽ち木が、自然の状態で生じるよりも遙かに大量に発生しています。皮肉なことにこの開発の影響で逆に個体数を増やしています。それから本種は与那国島には分布していません。現状では保全種に選定される理由は全く見いだせません。
*イリオモテボタルについて
 本種は1994年に新種記載された後、珍しい種かもしれないということで種の保存法の緊急指定種に指定された経歴があります。しかし、よく調べてみると発生時期が冬であるという特殊性はあるものの、環境適応力が高く山地から畑地はては民家の生け垣まで生息していて個体数も多いことから、保護の指定は解除されて現在に至っています。石垣島では分布域はとても広くまた個体数も多いことから、現状では保全種に選定される理由は見いだせません。ただ、近年、生息地近くの外灯が電球タイプからとても明るいLEDタイプに交換されてきています。弱い光を交信手段とする本種には光害そのもので、繁殖行動が阻害されて今後個体数を減少させる要因になるかもしれません
*オモトウスアヤカミキリについて
 資料に写真が載せてありますが、本種のものではなく全く別種のコウノゴマフカミキリのものです。このようないい加減なことはとても恥ずかしいことなのでやめていただきたい。また資料には石垣島にしか分布していないと書いてありますが、西表島にも本種は分布しています。現状では個体数はとても多く、環境改変の影響を受けにくい場所に生息しているので保全種に選定される理由は見いだせません。
*イシガキトゲウスバカミキリについて
 本種は成虫の発生期が比較的短いために希な種と思われがちですが、発生期の個体数はとても多く、ここ10年ぐらいは安定して発生しています。特に減少傾向は見られないため、現状では保全種に選定される理由は全く見いだせません。
*ベニボシカミキリについて
 本種は石垣島での採集個体を元に記載された種です。西表島にはとてもたくさん生息しています。しかし、石垣島では見たことがありません。石垣島に住んで16年になりますが、本種に関する唯一の採集報告は2002年5月にオモトトンネル内で車にひかれた雌が一頭拾われたのみです。ただこの個体も、西表で採集された個体を生きたまま持ち歩いていたものが逃げ出したのではと疑われています。石垣島での本種の分布は疑わしく、西表島からの個体の偶産かもしれません。
そのような状態の種ですので、保全種にしても意味がないかもしれません。
*アサヒナキマダラセセリについて
 アサヒナキマダラセセリは石垣島と西表島に分布し同種(別亜種)が中国大陸に広く分布することが判ってきて、発見当初に比べればその学術的な価値は著しく下がってきています。また、チョウとしての地味な外観からごく一部の熱狂的なコレクター以外には見向きもされず密猟や採集圧とは無縁の昆虫です。ここ数年は大発生しているようで、於茂登岳の山頂付近からかなり離れた海岸沿いでも普通に見ることが出来る状況です。本種はすでに沖縄県指定天然記念物ですので、あらためて保全種に選定する意味は現状では見いだせません。
*コノハチョウについて
 本種は先島諸島から沖縄諸島、奄美群島の沖永良部島と徳之島にかけて分布しています。天然記念物に指定されているのは沖縄県のみです。資料には「個体数の減少は密猟による捕獲の影響が大きい」と書いてありますが、現状では天然記念物に指定されている石垣島で本種を採集する人はほとんどいなくて、本種が欲しい人は何のおとがめもない鹿児島県で採集しています。資料には本種が減少傾向にあるように書かれていますが、石垣島では発生個体数はとても多く、そのような傾向は見られません。また、本種はすでに沖縄県指定天然記念物ですので、あらためて保全種に選定する意味は現状では見いだせません。
以上、保全種12種について現状と意見を書かせていただきました。それ以外の種2種についてもついでに書いておきます。
*ヨナグニサンについて
 本種は与那国島および西表島では比較的個体数も多く、発生期には容易に観察することができます。しかし、石垣島では見たことがありません。おそらく西表島からの偶産で記録されたものと思われます。
*ヒメフチトリゲンゴロウについて
 資料には「近年、石垣島での記録がない。」と書かれていますが、本種は石垣島では多産しており、普通種なので記録する価値がありません。そのため誰も本種の記録を書かないというのが現状です。もう少しまじめに調べて欲しいものです。
 次に保護地区の選定に関してですが、先に述べたように今回選定された種が選定する意味がないものでしたので、保護地区も選定する意味がないといわざるを得ません。資料には「検討の結果アサヒナキマダラセセリ、ヤエヤママルバネクワガタおよびオモトウスアヤカミキリに係る保護地区は於茂登岳を中心とした地域とした。」と書いてありますが、ヤエヤママルバネクワガタに関しては、このエリアはここ5年ぐらいもっとも生息密度が低い場所になっていますので現状でも意味がありませんし、今後少なくとも10年ぐらいはこの状態が続くような状況です。
 それから保護地区の規制に関してですが、資料には監視活動については何も決められていなくて「連携模索」という文字が躍っています。このような曖昧な体制で、たとえばヤエヤママルバネクワガタが保全種に指定された場合、起こるべき事を予言しておきます。今はどこにでも生息しているいわゆる普通種である本種が、急速に乱獲が進み本当の意味での絶滅が心配される保全種になるでしょう。この予言の根拠は近年同じようにアマミマルバネクワガタを希少な野生動植物保護に関する条例で採集禁止にした奄美大島および徳之島の例を見れば明らかです。このクワガタも特に保護を必要とするほどの種ではありませんでしたが、世界遺産登録をにらみ何かの力が働いて、このシンボリックな目立つ虫がリストアップされるに至りました。ただし、保護のための条例は施行されましたが、奄美大島や徳之島のいろんな山に普通にいる虫ですので取り締まりのしようがありません。採集者の心理として、監視員が本格的に付いて採集出来なくなる前に採れるだけ採っておこうというのが働いているようで、監視がなされていない山では異常なほどの乱獲が行われているのが実情です。これはそのまま石垣島についても当てはまります。石垣島の北の山から西の山まで至るところで乱獲が始まるでしょう。特にこの山にしかいないというような虫ではなくどこでも普通にいるので、すべてを監視するには500人ぐらいの人が必要でしょう。しかも本種の発生期間である10月上旬から12月中旬まで、本種が活動する18:00から3:00までの9時間を監視する必要があります。これらの理由から本種を監視保護する事は事実上、かなり困難なことです。また、保全種への指定により、今まで本種に興味を持たなかった人たちにお金になるかもしれないと、変な気を起こさせる引き金になる可能性があります。本種の市場価格は小型の個体では\300~\500程度であまり高くありません。理由は簡単で個体数が多くどこにでもいる虫だからです。これが保全種になるとプレミア感が生じて、価格は一気に上昇するでしょう。普通に簡単に採集出来る虫が高く売れるようになるということは、今まで本種に興味を持たなかった人を採集者にしてしまう原動力としては十分です。このような理由から、本種のように保全の必要のない種や保全の必要のある種がいたとしても完全な監視保護体制の確立以前に不用意に昆虫を保全種に指定してしまう行為はいわゆる百害あって一利なしです。
 最後に石垣市自然環境保全審議会の全般的な問題なのか、昆虫関係の一部の特殊な人が原因なのか判りませんが、保全種や保全域の選定方法が何か恣意的で現状と離れた結論が導かれているような気がしてなりません。石垣島の大切な生き物たちのランク付け作業は、石垣島にいない人たちの資料を用いて卓上で決めるのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、アセス業者もしくは石垣島在住の有志(ボランティア)の協力を得て石垣市自身で行うべき仕事だと思います。
石垣市希少野生動植物の保全種(採集禁止種)の選定が行われました。
選定種は以下。
サキシマヤマトンボ
イシガキニイニイ
イシガキヒグラシ
チャイロマルバネクワガタ
ヤエヤママルバネクワガタ
ヤエヤマノコギリクワガタ
イリオモテボタル
オモトウスアヤカミキリ
イシガキトゲウスバカミキリ
ベニボシカミキリ
アサヒナキマダラセセリ
コノハチョウ
何かの大きな力が働いているようで、
保護の必要性が現状では全くない種がたくさん含まれています。
今朝新聞を見るとヤエヤママルバネクワガタが採集禁止となる保全種に選定されたという記事が載っていました。保護種の選定には沖縄県のレッドデータブックと環境省のレッドデータリストを基になされており、石垣市による独自の調査等は一切行われていません。資料がかなり古いので現状とはそぐわない種も沢山ありますが、そのあたりは全く考慮されず、今となっては役に立たない資料のみで選定と決定がなされました。ヤエヤママルバネクワガタは石垣島では密度の濃淡はあるものの北から南までほぼ全域に分布している普通種です。秋の採集の楽しみが減りとても残念でなりません。
台風19号の影響で15m/sの小雨交じりの強風の中、セミ採集に行ってきました。セミが大好きな猫ちゃんのために旅立ちの日にセミをお供にさせたいという特殊オーダーがあったためです。セミは無事に採集できましたが、台風の影響で現在物流が完全にストップしています。間に合うと良いのですが...
先日、スズメガをまとめてご購入いただきましたので在庫の穴を埋めるべく、スズメガ採集に行ってきました。あまり良いものは採れませんでしたが少しだけ在庫を充実させることができました。勢いで商品登録してしまいましたが、当然まだ乾燥していませんのでご購入は6月10日以降にお願いいたします。
ライトトラップをするのに月齢も良く夜温も高かくて好条件だったため、気まぐれで1泊だけですが西表島にヤエノコ採集に行ってきました。この時期のヤエノコはほとんどの個体がピカピカの発生初期個体ですので標本用に好適ですし、小型個体や♀はブリード用にも最適です。

1泊ですので数はあまり採れていませんが、ブリーダーさん向けの生き虫を当店の生き虫カテゴリーとヤフオク!に登録いたしました。標本用としては少し小さいかなという大きさの♂と大型の♀を組み合わせています。ヤエノコをブリードしてみたい方はご検討ください。