ハラビロトゲサシガメ

ハラビロトゲサシガメ
本種は西表島と沖縄本島に分布が知られています。サシガメの中でもかなりの稀種で数個体しか採集例がありません。私はサシガメがとても好きなので、いつかは採集したいなと思いつつその存在を知ってから10年近く経ってしまいました。その形態は誰が見ても樹皮の擬態者とわかるものです。ただ、その完璧な擬態能力は、そこにいるという確信・信念を持って探さないと見つからないだろうと思わせるものです。その本種をベニボシカミキリ採集の折に、幸運にも採集する機会に恵まれました。地衣類にまかれた樹皮が一瞬動いたように見えたとき、瞬時にチャンスが訪れたことを理解しました。刺されるかもと一瞬思いましたが、次の瞬間には手で鷲掴みにしていました。20mmを超える大きなサシガメですが、とても扁平で樹幹・樹皮上での生活に適応した究極のフォルムなのかもしれません。本種の採集が、今日一番うれしかった出来事です。