2016年1月

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画像左/中:テントウムシ擬態のコガネムシ
画像右:石垣島産ナナホシテントウ

テントウムシ擬態のコガネムシを入手しました。
とても愛らしい虫です。以下少しうんちくを垂れます。

擬態とは:擬態とは生物が何か別のものにそっくりに化けて自身を捕食者や天敵から守ることです。有毒な生物などの他の種類に似る標識的擬態と、葉や枝などの他の物に似せて隠れる隠蔽的擬態が代表的なものです。他に捕食者側がとる攻撃擬態というものもあります。

標識的擬態とは:この中には代表的なものとしてミューラー型擬態(毒を持つ生物が、おたがいに似通った体色をもつことをいいます。ミュラー型擬態はお互いが毒を持っており、どちらかが一度犠牲になれば、その後は他の種類も守られることになります。)やベイツ型擬態(毒や武器を持っている生物の持つ警戒色と同じ警戒色を用いて、捕食者をだまして身を守るものです。実際に毒や武器を持っている模倣される方をモデル種と呼び、毒を持っていない擬態している方をベイツ型擬態種(擬態種:ミミック)と呼びます。)があります。

テントウムシ擬態とは:モデル種がテントウムシであるベイツ型擬態のことです。テントウムシ類はアルカロイド系の苦い黄色い液体を分泌するため食べるととても不味い昆虫のようで多くの生物のモデルになっています。代表的なものとして、テントウムシダマシ、オオキノコムシ、ゴミムシ、ハムシ、ゴミムシダマシのような甲虫類と、テントウムシとは系統的に遠い関係のウンカ、ゴキブリ、クモ等が擬態種として知られています。

テントウムシ擬態のコガネムシ:今回入手したものは、黒色の前胸背板の側方に白色の斑紋を持ち、オレンジ色の上翅に黒色の斑紋を持つという警戒色の色彩パターンから、アジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布し日本でもおなじみのナナホシテントウがモデル種のようです。ヨーロッパからアジアにかけて分布するナナホシテントウは,黒紋が小さいことからコモンナナホシテントウと呼ばれ真上から見るとお尻にある2つの黒紋が見えないので5星テントウです。このコガネムシも5星になっています。ちなみに日本に分布しているナナホシテントウも石垣島産のものは紋が小さく5星に見えます。

この虫の効用(個人的なもの):この虫を見ていると自然はすばらしいといいますか、何かほっこりした気分になり、癒し効果が絶大です。